今年前半に実施したDiSC®研修の事例から、1on1の質を高めるポイントを解説します。
マネジャーの1on1を成功させる鍵は、「相手を理解し、相手に合わせて関わる力」にあります。
その力を組織として育てていくうえで、DiSC®は非常に有効なツールです。
しかし、この「相手を理解し、相手に合わせて関わる」スキルは感覚的になりやすく、組織全体で体系的に指導したり、能力向上を支援したりするのが難しいと感じる人事担当者やリーダーは少なくありません。
そこで、今回は、今年前半に実施したDiSC®研修の事例から、1on1の質を高めるポイントをお伝えします。
二度にわたるDiSC®研修の実施
今年前半、ある企業にて、部下を持つマネジャー層を対象に、DiSC®を活用した研修を二度にわたり実施しました。
初回は、DiSC®アセスメントを初めて体験していただき、自身の行動傾向を知るとともに、組織内のチームビルディング向上について考えていただく内容でした。幸いにも、その企業のトップおよびリーダーの方々がすでにDiSC®の有用性をよく理解されており、組織全体としての学びの吸収度が非常に高い環境でした。

比較レポートを活用したフォローアップ研修
数か月後に実施した2回目の研修では、フォローアップを兼ねて、DiSC®の「比較レポート」を活用しました。
参加者同士が自身と他者の行動スタイルの違いを具体的に確認しながら、
「どのように1on1の場で相手に合わせた対話を行うか」を体験的に学んでいただきました。
このプロセスを通じて、自己理解と他者理解の重要性がより明確になり、
「相手に届く伝え方」「相手を理解する聴き方」が自然と身につく手応えを感じていただけたようです。
具体的には、「Dスタイルの上司が、Iスタイルの部下には『まずは成果よりアイデア出しを促す』ことが必要だと腹落ちした」といったように、相手に合わせた対話の仕方が必要で、どのようなアプローチをすると効果的なのかを掴めたようです。
1on1の質を高める「行動スタイル理解」
このように、1on1の場では、上司が部下の行動スタイルに合わせてアプローチできるかどうかが、信頼関係と成果に大きく影響します。
DiSC®を通じて「自分はどんな伝え方をしているか」「相手はどんな受け取り方をしているか」を理解できるようになると、対話のすれ違いが減り、1on1がより前向きで生産的なものに変化していきます。
実際に、今回の研修後には、お客様からの嬉しいフィードバックとして、企業のご担当者様から次のような嬉しいお言葉を頂きました。
本木さんに2度にわたりセッションをして頂いたおかげで、弊社内のよき共通言語形成ができました。何よりも、上司と部下の間の対話の質が向上しました。
オフィスメンバーのパフォーマンスマネジメント力が上がりました。大変感謝しております。
このような声をいただき、私自身、あらためてDiSC®というツールの有用性を強く実感しました。
特に印象的だったのは、DiSC®を単なる性格診断として終わらせず、「共通言語」として組織内に根づかせることで、マネジャーと部下の対話の質が確実に変わるという点です。
DiSC®研修「比較レポート」で得られた「気づき」の例
今回の研修でも用いたDiSC®の「比較レポート」は、これまでにも様々な気づきを生んでいます。今回の研修でのものではありませんが、以下に数例ご紹介します。
課題
部下が報告の「結論」をすぐに言わず、話が長いと感じ、途中で遮ってしまっていた。
気づきやアクション
部下(Sスタイル)は、結論よりも、決定に至るまでの手順や根拠を丁寧に伝えることで安心感を得るため、報告が長くなる傾向があると理解できた。その結果、上司は、最初は話を遮らずに部下の報告を傾聴し、その後に「要点を3点にまとめてくれる?」と、部下のスタイルを尊重しつつ、Dスタイルが必要とする形式に誘導するようになった。
課題
部下(Iスタイル)のアイデアや発言に、すぐに「それは実現可能か?」「根拠は?」と質問を投げかけ、部下の活力を削いでしまっていた。
気づきやアクション
部下(Iスタイル)は、「まずはアイデアを自由に話すこと」でモチベーションが高まり、すぐに論理的な検証を求められると意欲を失いやすいと理解した。そこで、上司は、アイデア出しの際は一旦評価を保留し、「それいいね!他には?」「面白くなりそうだね」と共感と承認を先に伝えることで、部下の発言量が格段に増えた。
課題
部下の頑張りやチームへの貢献を褒めるが、具体的な業務の数値や改善点に関するフィードバックが曖昧になりがちだった。
気づきやアクション
部下(Cスタイル)は、感情的な承認よりも、「論理的な根拠」と「具体的な事実」に基づいた正確な評価と期待を求めているとわかった。これにより、上司は、フィードバックの際に「あなたの貢献のおかげで、このプロジェクトの数値は10%改善した」という具体的なデータを添えて伝えるように意識し、部下の納得感と信頼関係が深まった。
御社のマネジャーは、部下一人ひとりに『届く』対話ができていますか?
「1on1がうまくいかない」「部下との対話が形骸化している」と感じている組織ほど、DiSC®の導入効果は大きいと感じます。
人の行動特性を可視化し、相互理解を促すことで、マネジャーの対話力を育て、チーム全体の力を引き出す。それが、私がこれまで数多くの現場で実感してきた、DiSC®がもたらす変化です。
マネジャー向けDiSC®研修の概要

- 対象:部下を持つマネジャー層
- 目的:1on1の質向上、スタイルに応じたコミュニケーション理解
- 実施形式:DiSC®アセスメントを活用した集合研修(半日~1日)
- 効果:マネジャーの対話力・部下理解が向上し、組織全体のパフォーマンスマネジメントが改善
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